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懐かしいホテルの匂い。

外食業界に特化した制作会社へ転職して数年、制作の質に疑問を持ち始めた頃、ディレクターが一冊の本を手渡してくれました。それは、中谷彰宏著「ホテル王になろう」。そこには様々なホテルの様々な部署の仕事が、プロフェッショナルの珠玉の言葉とともに描かれており、それまでホテル数社を担当してきたボクはその物語性や技とタマシイに触れていたく感動した記憶があります。以来、仕事を通してみえる風景が変わって仕事が面白くなり、毎日のように通い続けるうち最終的に売上が十倍という不思議な体験もしました。


行動量というよりも意識の差でしょうか。ホテルの歴史や伝統を訊くことにより、仕事の本質を理解するようになります。一流の空気に触れることで、制作スキルが高まります。担当者のパッションを感じることで、顧客への愛情の深さを知ります。一冊の本を手にホテルの裏側を隈無く駆け巡るだけで、たくさんの方から仕事と教えをいただくことができた三十代半ば。もちろん、仕事で大恥をかいたり、社員さんから疎まれたこともあった。悔しくて情けなくて、生命保険を解約し勉強と称して呑み喰いに使い果たしたのもこの時期。でも、人生なんとかなるもんです。今の自分があるのはそんな愚行のおかげかな。


昨晩は、そのたくさんの思い出が詰まった帝国ホテルの最上階で、十年来の旧知の部長と一献。独立後、前職の会社との取り決めで訪問を控えていましたが、幸いにもご指名の仕事でご縁が復活。苦しくも楽しかった過去を共有してくださる人がいるのは幸せ。恵まれた立地に歴史と伝統というプレッシャーの中で猛烈に働く彼らとは違い、ひょーひょーと働きくボクですが逆にズケズケ言うから仲良くしてくれるのかな。一冊の本が焚きつけた火はもう消えたはずだったけど、懐かしいホテルの匂いとやさしさに触れてもうひと踏ん張りやるか〜の気分になった。なのにバーへ立ち寄りラーメンで〆た夜。

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by t-jack2121 | 2012-08-25 17:52 | 外で呑む。 | Comments(2)

見習いさんの一歩。

築地に店長と見習いの2人で運営する立ち食い寿司店があります。チェイン系ゆえネタはそれなりですが、夜にお好みで30分1本勝負ができるので使い勝手は良い。さて、そこの見習いさん、ネジが1本抜けている感じで、間が悪かったり注文忘れたりの天然系。店長にも、コイツのバカさは本物です!なんて言われちゃってます。ま、店長の口調はキツイけど、お客の前で失敗しても許してもらえ鍛えてくれる、彼にとっては今しかない幸せな時間だと思います。年取って怒られるの、お客さんくらいだもんなあ。


で、昨晩の話ネタは「時間ですよ」。健全な時間にTVでオッパ◯が観られた世代が今こうして手に職を得て働いているが、現代は何でもかんでも規制しているから、余計見たくなって逆に不健全だねぇ、なんて話です。世の中全体がもっと鷹揚に構え、はみ出したら戻して、踏み外したら怒って、みんなで見守ってあげる。そうやってコドモはオトナの階段を昇る〜てな着地。なるほどボク自身の過去も重ねても、ソレは成長過程に不可欠なんだなと改めて思いました。妄想、回想。


確かに、最初からハードルを高くするのではなく、現状に即した提案をして見守ることも大事だなあ。できないことを責めるより、できることの質を高めて自信を積み上げる。よし、あの店で実践するかっ。てなことで、ソッチ談義の最中にぬる燗が手元に届く。温度はいかがですか?と見習いさん、初めて訊いてきた。お冷を頼んだ時も、氷抜きでしたよね〜と憶えていた。ちょっとしたことが、とっても嬉しくて思わずありがとうって伝えました。いや〜彼も成長したな〜って、どんだけ上目線の客なんだか。

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by t-jack2121 | 2012-08-23 11:24 | 外で呑む。 | Comments(0)

賄い。

ボクが通った小学校は当時、学校給食がありませんでした。では昼食はどうするかというと、家が遠い人や両親が共働きの人は弁当持参で、それ以外は自宅に帰って食べていました。ボクは後者でほぼ、毎日家で昼ごはん。スゲェ田舎だなあと思われるでしょうが(事実そうですが)、当時でも全校生徒は300人以上。その生徒の半数以上が昼休みにトコトコ家に帰るんですから、ステキな街でしょう。そんな高知西端の港町の長閑な風景も、今ではすっかり変わってしまいましたが、宿毛市立大島小学校は健在。


さて、とはいえ遊ぶ時間を考えるとマッハの昼めし。実家は工場稼業でしたので、賄い的な食事は一汁一菜+αの内容。食べてる傍からひっきりなしに社員や出入り業者が訪れるのでサッサと食べて学校に戻る。友人も養殖業や商店経営の家が多く、どこの家もみんな一緒です。一方で、生活が苦しかった家庭も多く、昼休みや放課後に学校から文具や栄養補助食品(肝油)が支給された友だちもいました。お盆に帰省しなかったせいか、昼ごはんとともに様々な思い出が甦るこの夏。みんな元気かなあ。


ところでお盆休み返上の弊社、この2日夜ごはんを築地の居酒屋二軒を新規で利用。市場が休みなのでアテにはせぬものの、どちらも期待を下回る成果(ある意味期待通り)に。多くは書きませんが、えぇっ!て思う店でもそのトーンに合う常連はいるんだな〜とか、この程度の料理でそんな値段を取るのかぁ〜がわかりました。あと参ったのが、昨晩の店で出た業務用チューブのニンニクとショウガ。余りのクスリっぽさに気絶しそう。生ものに添えられるとたまらんね、後味の悪さったらもう・・・悲しくなります。


あと、定番料理がほとんど用意できずホワイトボードの数品だけというお盆仕様に驚愕(写真参照)。それでも席が埋まるんだから、店のトーンに合う常連っているんだなあ。定時で帰るおばちゃん、さっきまで接してくれたんだから帰り際にごゆっくりどうぞ〜って声くらいかけましょう。別のスタッフはアララ空いた卓で賄いですか、ちゃんとエプロン外して気配を消して食べましょう。と、結構アラ探しを楽しんでいるボクですが、ニアイコールな行動が見えるサービス業は多いですからオイラも気をつけよっと。

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by t-jack2121 | 2012-08-17 09:56 | 飲食店雑記。 | Comments(2)
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日本酒が呑みたくて21時過ぎに知人の店を訪れたら客はボクらだけ。仄暗い照明ゆえ入りにくいのかと思ったが、違う。電気じゃなくて元気がない。活気まで節約してどうすんの。そしたら酒肴も予想通りで、アレはないコレは切れたの貧すりゃ鈍すサイクル。部長が店にいたのに隠れて挨拶が遅い、面倒なのかい。この道30年のベテラン調理長にしても、スタッフの自発的空気感向上意欲の無さに慣れ切ってしまってる。ラクなことが続くとね、給料は下がるんですよ〜。いい加減、自分ごとにしましょうね〜。


さてどうしたもんかと翌日、京橋「とり安」。カウンターで愛想のない若き焼き手の前に座ったが、見てて面白かったです。焼いたソレがボクのだとわかってるのに、カウンター◯番さん上がりですと、中途半端な声量でホールに伝える始末。お待たせしました!と目の前のボクに渡せば済むのにそれができない。ここにもいたか、やる気のないヤツが〜

と一瞬思ったが、よくよく見ていると懸命にシゴトをこなしている。手際も悪くない。次第にわかった、要するに極度のシャイなんだ。声量がないのではなく恥ずかしいんだ、きっと。それに一所懸命焼いたのにさっさ食べず、酔っておしゃべりばっかりの常連が多いから面白くないのかもね。でも、片付けとか一つひとつの所作が粗いよ。キブンが顔に出てるよ。で、そのたびボクは彼に睨みの目線をやるわけで。


さてよく呑み喰いして帰り際、マスターより先にシャイ氏にご馳走さんと伝えると彼は即座に反応した。食事中に意図した、見てるよ、ちゃんと食べているよ〜って波動が少しは伝わったかな。そんな緊張感を少しでも彼に届けたかったのです。喋るのが苦手なのはわかる。ボクも私立中学に行った頃と上京したばかりの頃、恥ずかしがり屋で積極性に欠けて友達が少なかった。それでもオトナになり、自分が心地良い領域に居続けては成長できないことも知るわけで。自分からすすんで声をだす、接する、ナマの声を聞く。その一瞬の勇気が人間力をグンとアップさせることをどんどん実感してほしいです。次は目の前でボクに届けてくれるかな〜。つか、ボクのこと覚えてないだろな〜。
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by t-jack2121 | 2012-08-09 20:38 | 外で呑む。 | Comments(0)
20年近く飲食店を経営している呑み仲間の先輩の会社と、採用に関するお手伝いをすることになりました。シゴト目線でヒヤリングすると、どんな繁盛店でも社員に対する悩みは存在するなあと実感します。申し分ない給料を得る店長でも、会社経営や独立に興味がない人は多いもの。会社の側はそんなモチベーションでずっといられても困るし、社員の側はリスクを負ってまで独立したくないし家族がいれば安定感も手放したくない。意図的な振り返り面談やステップアップの機会って必要ですね。お互い歳を重ねますし。


ボクも若いころ、経営者になったつもりで働けと言われたクチですが、絶対に無理。幹部以下の一般社員と経営者の違いは、自分と家族のために稼ぐ人と、社員とその家族のために稼ぐ人の違い。日々働く視点がまったく異なるのは明白です。さらに、千万単位の投資をする大博打のような飲食店経営は、やった本人しか味わえない苦労と喜びがあるもの。だから、その一切を若手社員が担ってみて初めて、社長の考えに一歩近づけます。手っ取り早い社員育成はぜんぶ任せて、いざとなったら社長が引き取るのが一番良いのかも。


それとは別で、馴染み店の系列店が閉店した相談もありました。給与の遅配や未払いで状態の悪さを知るわけですが、商品力と接客力を見直そうという現場の声に社長は耳も貸さず、かなり投げやりな感じだったと言います。また未払いは、一度やると鈍感力がつきますから、後ろめたさもない精神状態だったのかも。幸い別法人の1店舗が残ったため、大家の協力を得て再出発を画策。20年以上も支えてきた社員が還暦を過ぎて新たな人生に挑む、を支援します。これもダメ社長のおかげで味わえる醍醐味なのかもなぁ。


みっともない話ですが。過去、連帯保証をしたことで給与を差押えられた経験がある私。兄の借金の肩代わりで住宅ローンが払えず、自宅と生まれ育った実家の両方を競売で失い、のちにヨメともサイナラ。ただ、この経験はボクの社会的価値を少しは厚くしてくれたと、今は思えます。貸す側、借りる側、支援する側、追い込む側、それぞれの立場を考え行動することはとても勉強になります。相手もみな雇われている社員、その心情を読むのも面白いものです。雇われない生き方を選んだ今は、その感覚から疎くなってはいけないようにも思います。


この8月で弊社は9期目に突入しました。必要とされる会社のために、こうしてお客さんや友人からたくさんの難題をなげかけてくれ幸せです。ダテに呑んでるだけじゃないよ〜と、節目に際し強調しておきます。なーんてね。
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by t-jack2121 | 2012-08-04 13:39 | 飲食店雑記。 | Comments(0)

蕎麦の笊に顔を埋めて堕ちたことをネタにされています


by t-jack2121